地域おこし協力隊の副業は本当にできる?雇用型・委託型別のルールと注意点

目次

はじめに|「協力隊しながら副業できる?」

地域おこし協力隊として活動しながら、副業をすることはできるのでしょうか。

「給料だけでは生活が厳しいので、副業で補いたい」
「任期後を見据えて、今のうちから収入源を作っておきたい」
「委託型と雇用型で、副業のルールはどう違うの?」

結論から言うと、副業ができるかどうかは、任用形態(雇用型か委託型か)と、雇用型の場合は勤務形態(フルタイムかパートタイムか)によって変わります。2025年6月には総務省から兼業に関する新しい通知も出ており、今後の運用にも注目です。

この記事では、副業に関するルールと注意点を整理します。


委託型は基本的に副業自由

委託型(個人事業主)は、自治体との間に雇用関係がありません。そのため地方公務員法の適用対象外であり、基本的に副業は自由です。勤務形態に柔軟性があり、副業も推奨されるケースが多く、比較的自由に活動できる点は委託型の大きな特徴です。

ただし業務委託契約の内容には注意

雇用関係がないとはいえ、業務委託契約書の中に活動規律に関する条項が含まれている場合があります。総務省の手引きでも、委託型の隊員について「活動内容に応じて秘密の保護等、活動規律の確保に係る規定を契約に記載することが必要」とされています。(出典:総務省「地域おこし協力隊に関するよくある質問(FAQ)」soumu.go.jp)

契約内容をよく確認した上で副業を始めましょう。


雇用型は「フルタイムか、パートタイムか」で対応が変わる

雇用型(会計年度任用職員)の副業ルールは、フルタイムかパートタイムかによって大きく異なります。ここは誤解されやすいポイントなので、丁寧に整理します。

フルタイム会計年度任用職員:任命権者の「許可」が必要

地方公務員法第38条は「営利企業への従事等の制限」を定めており、職員は兼業する場合、任命権者(自治体)の許可を受けなければなりません。この規定はフルタイムの会計年度任用職員に適用されます。

ただし、総務省の手引きには次のように明記されています。

会計年度任用職員については、地公法第38条において、営利企業への従事等の制限が定められており、従事する場合は任命権者の許可が必要とされていますが、その許可にあたっては、公務に支障を来したりするおそれがないよう十分留意しつつ、勤務形態等を勘案して必要に応じ弾力的な運用を行うことが可能です。

(出典:総務省「地域おこし協力隊の受入れに関する手引き(第4版)」soumu.go.jp)

つまり「フルタイム=副業禁止」ではなく、「許可制」というのが正確な理解です。実際の自治体規則でも、この許可制の運用が定められています。

実例:

これらの規則では、営利企業等従事許可申請書の提出→任命権者の審査→許可書の交付、という手続きの流れが定められています。

パートタイム会計年度任用職員:「届出」で足りる

一方、パートタイム会計年度任用職員は、地方公務員法第38条の適用が除外されています。そのため兼業する場合、許可ではなく届出で足ります。

複数の自治体の条例を確認すると、この扱いは全国的に共通していることが分かります。例えば福岡県朝倉市の規則では次のように定められています。

パートタイム会計年度任用職員は、兼業を行おうとするときは、会計年度任用職員兼業届出書を任命権者に提出しなければならない。

(出典:朝倉市職員の営利企業等の従事制限に関する規則

パートタイムの兼業には条件がある

ただし、パートタイムであれば無条件に兼業できるわけではありません。複数の自治体規程では、次のような条件を全て満たす場合に限り兼業を認めるとしています。

  • 兼業先の業務と勤務時間が重複しないこと
  • 1日の合計勤務時間が8時間を超えないこと
  • 1週間の合計勤務時間が40時間を超えないこと
  • 1週間のうち少なくとも1日は、本業・兼業先いずれの業務も休日であること
  • 兼業により職の公正を確保できなくなるおそれがないこと
  • 兼業により自治体の信用を損なうおそれがないこと

自分がフルタイムかパートタイムか、まず確認する

地域おこし協力隊は自治体によってフルタイム・パートタイムどちらのケースもあります。着任前に、自分の任用がどちらの区分になるのかを必ず確認しましょう。区分によって、副業の際に必要な手続き(許可か届出か)がまったく異なります。

雇用型・委託型それぞれの詳しい違いは、こちらの記事でも整理しています。


【2025年6月】総務省が兼業しやすくするための新通知を発出

地方公務員の兼業を巡っては、2025年(令和7年)6月11日に、総務省から新しい通知が発出されています。

2025年(令和7年)6月11日、総務省は「営利企業への従事等に係る任命権者の許可等に関する留意事項について(通知)」を発出しました。これは、兼業を希望する地方公務員が兼業できる環境を整備することを目的として、地方公務員法に基づく地方公務員の兼業許可の運用について、技術的助言として行われたものです。

(出典:森・濱田松本法律事務所「公務員の兼業許可に関する最新動向と留意点」)

通知の原文は総務省のサイトで公開されています。

総務省「営利企業への従事等に係る任命権者の許可等に関する留意事項について(通知)」令和7年6月11日付・総行公第72号(PDF)

この通知に法的拘束力はありませんが、今後、自治体が兼業を許可するかどうかを検討する際の重要な指標になると考えられています。

兼業許可は年々増加傾向

総務省の2024年度調査によると、地方公務員の兼業許可件数は41,587件で、2019年の前回調査(41,669件)からほぼ横ばいですが、社会貢献活動に関する許可件数は13,498件で、前回調査から1,992件増加しています。(出典:森・濱田松本法律事務所「公務員の兼業許可に関する最新動向と留意点」)

また、兼業の許可基準を設定している自治体は1,152団体(全体の64%)と、前回調査から25ポイント増加しており、制度整備が全国的に進んでいます。

地域おこし協力隊(特にフルタイム会計年度任用職員として任用される場合)にとっても、今後こうした動きが副業の許可されやすさに影響していく可能性があります。


副業をする理由|生活費の補填と任期後への準備

収入面での補填

地域おこし協力隊の給料は、自治体ごとに異なりますが月額20万円〜23万円程度の範囲で設定されていることが多いです。単身であれば十分に生活できる金額でも、結婚して子どもがいる世帯にとっては厳しい水準になることもあります。給料の手取りシミュレーションについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

任期後の定住・起業への準備

副業を始めるもう一つの理由は、任期終了後の定住・起業に向けた準備です。任期終了後にいきなり起業するのは簡単なことではありません。任期中から起業に必要な準備・スキルアップ・人脈づくりをしておくことが大切です。

相性の良い副業の例

  • ライティング・編集
  • 動画撮影・編集
  • 地域ブロガーとしての情報発信
  • 自治体イベントの撮影・記録

ネット環境とPCがあればできる副業は、時間や場所を問わず取り組みやすく、協力隊の活動と両立しやすい傾向があります。

任期後の生業づくりについては、こちらの記事で詳しく解説しています。


副業をする際の注意点

①必ず事前に自治体へ確認する
フルタイムなら許可申請、パートタイムなら届出が必要です。「委託型だから確認しなくていい」と思わず、契約内容も含めて事前に確認しましょう。

②地域おこし協力隊としての活動に支障が出ない範囲で行う
副業がどの任用形態であっても、本業である地域協力活動に支障が出ないことが大前提です。兼業の許可・届出の審査でも、この点が重視されます。

③自治体・地域住民からの見え方にも配慮する
副業に力を入れすぎている印象を与えると、地域住民から「協力隊としての活動が疎かになっているのでは」という目で見られることもあります。バランスを意識しましょう。


まとめ|任用形態・勤務形態で対応が変わる

地域おこし協力隊の副業について整理します。

区分副業の可否必要な手続き
委託型(個人事業主)基本的に自由契約内容の確認
雇用型・フルタイム許可制(禁止ではない)任命権者への許可申請
雇用型・パートタイム届出制兼業届出書の提出(勤務時間等の条件あり)

2025年6月の総務省新通知により、今後は地方公務員の兼業がさらにしやすくなっていく可能性があります。自分の任用形態・勤務形態を正確に把握した上で、自治体に確認しながら副業を検討しましょう。

ロカスモは、あなたの活動と生活を応援しています。

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