富山県への移住を検討するとき、住宅取得に対する自治体の支援は“見逃せない情報”です。家を買う・建てるとなれば数千万円の出費が伴い、自治体の補助制度によって初期負担が100万円単位で変わることも珍しくありません。
しかし、富山県内では自治体ごとに仕組みや補助額が大きく異れます。
「どこが一番手厚いの?」
「どれくらい違うの?」
という疑問を持つ人も多いはずです。
そこで本記事では、2025年度(令和7年度)時点で公式に公表されている“住宅取得に関する自治体独自の補助”を洗い出し、最大補助額の観点でランキング化しました。あわせて、読者が安心して判断できるよう、すべて公式出典リンクつきでお届けします。
※全国一律の「移住支援金(東京圏からの移住で最大100万円〜)」は比較の公平性のため除外しています。

ランキングの基準
- 対象:住宅の取得(新築・購入・中古住宅の取得補助)に直接関わる制度のみ
- 2025年度に公式サイト上で確認できる制度のみ
- 最大補助額が明示されている場合はその額を採用
- 条件加算が積み上がる仕組みの場合は「最大値として明記されている金額」を採用
- 出典はすべて自治体公式サイトまたは公的資料のみに限定
第1位:黒部市 — 最大 280万円(中古住宅 × 市外転入)
富山県で最も手厚い制度を持つのが黒部市です。特に空き家バンク登録住宅(中古住宅)の取得 × 市外からの転入の組み合わせでは、最大 280万円の補助を受けられることが公式資料ではっきり示されています。
最大補助額:280万円
これは、以下の加算項目を組み合わせた結果得られる「最大値」です。
主な加算要素(公式資料より)
- 居住誘導区域内 +50万円
- まちなか +10万円
- 地鉄沿線 +10万円
- 若年世帯 +20万円
- 子育て世帯 +10万円
- 県外転入者 +30万円
- 既存宅地利用 +50万円
さらに、次のような補助も組み合わせられるため、中古住宅の取得から活用まで一気通貫で支援する仕組みになっています。
- 空家バンク活用補助:最大20万円
- 空家リフォーム補助:最大100万円
- 解体補助:最大100万円
- 家財処分補助:最大10万円
▶ 黒部市公式:住宅取得支援(住宅取得等へのサポートメニュー)
第2位:射水市 — 最大 200万円(ポイント制で加算)
射水市の「いみず住まい等応援事業補助金」は、県内では唯一といえるポイント制を採用しています。条件が揃うほどポイントが増え、合計ポイント × 5万円、最大200万円の補助が受けられます。
加算される主なポイント例
- 移住・定住(県外転入・市外転入)
- 若者世帯・子育て世帯
- 三世代同居
- 空き家バンク活用
- 子どもの人数 など
ライフステージに応じて利用しやすい、バランスの良い制度設計になっています。
第3位:上市町 — 最大 140万円+子ども加算(1人20万円)
上市町は、特に若年世帯・子育て世帯に強い自治体です。
最大補助額:140万円+子ども加算
条件と補助額のしくみ
- 転入 × 住宅団地内:140万円
- 転入 × 住宅団地外:120万円
- 中古住宅の場合:上記の半額
- 児童1人につき20万円加算
子どもが2人いれば、合計180万円になるケースもあり、家庭を持つ移住者には非常に魅力的な制度です。
第4位:南砺市 — 最大 100万円+補助体系が多層的
南砺市は“里山暮らし”を希望する人に人気が高く、補助制度も多段構造です。住宅取得時の基本補助は最大100万円ですが、さらに近居・同居・Uターン・山間地域加算など多数の加点があります。
第5位:小矢部市 — 最大100万円+児童加算(10万円/人)
小矢部市は、新婚・転入世帯向けの補助が特徴的です。子どもがいるほど加算が増える設計で、ファミリー世帯との相性が良好です。
主な内容
- 新婚世帯:上限100万円+児童加算
- 転入世帯:上限50万円+児童加算
- 児童加算:15歳未満1人につき10万円
補助額の比較一覧
| 順位 | 自治体 | 最大補助額 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 黒部市 | 最大280万円 | 黒部市公式 |
| 2位 | 射水市 | 最大200万円 | 射水市公式 |
| 3位 | 上市町 | 140万円+児童加算 | 上市町公式 |
| 4位 | 南砺市 | 100万円+加算 | 南砺市公式 |
| 5位 | 小矢部市 | 100万円+児童加算 | 小矢部市公式 |
最後に:補助金は“判断材料の一つ”にすぎません
ここまで各自治体の補助制度を比較してきましたが、覚えておきたいのは次の点です。
補助金の額だけで移住先を決めると、後悔することがある。
住宅取得の補助は魅力的ですが、移住後の満足度を決めるのは補助金ではなく、
- 暮らしやすさ
- 仕事との距離や働き方
- 子育て・教育環境
- 自然・地域コミュニティとの相性
といった日々の生活環境そのものです。
また、多くの自治体の補助金には、
- 一定期間の居住義務
- 転出時の返還要件
- 就業等に関する条件
といった返還リスクも存在します。
そのため、一時の補助額にとらわれすぎず、長期的な暮らしの視点で移住先を選ぶことが大切です。補助金は「背中を押してくれる追い風」であって、移住のゴールではありません。
支援制度は上手に活用しつつ、住まい・仕事・生活環境を総合的に見て、自分や家族にとって心地よい場所を選んでいきましょう。

