地域おこし協力隊 地域要件判定ツールの使い方【公式ガイド】

地域おこし協力隊 地域要件判定ツールの使い方【公式ガイド】

(2025年11月現在/令和4年4月1日現在の総務省資料をもとに作成)


目次

導入 ― まずは「総務省PDFの難しさ」から始めましょう

「地域要件ってどう判断するの?」「私の住所はどの区分?応募して大丈夫?」
地域おこし協力隊を検討している人の多くが、最初にぶつかる壁が 地域要件 です。

その理由は、総務省が公開している公式PDFが、とても正確である一方で、専門性が高く、理解が難しい ためです。

2025年11月現在、地域要件に関する最新の総務省資料は次の2つです。

これらの資料には、

  • 「三大都市圏内の都市地域」
  • 「三大都市圏外 一部条件不利地域」
  • 「全部条件不利地域」
  • 「政令指定都市」

など、普段は聞かない言葉が並びます。
加えて、文章 → マトリクス表 → 脚注 → 別資料との紐づけ……と、複数の資料をクロス読みしないと理解できない構造 になっています。

実は、応募者だけでなく、自治体担当者さえも 応募が来るたびにPDFを開いて照合しているほど複雑です。

この記事では、

  1. 公式PDFの「どこが難しいのか」をやさしく解説する
  2. その上で、ロカスモが開発した 非公式・高精度の「地域要件判定ツール」 の使い方を紹介する
  3. 応募者にも自治体担当者にも役立つ“実務レベル”の理解を提供する

ことを目的としています。


地域要件の背景 ― 「転出地 × 転入地」で歳入(特別交付税)が決まる

地域おこし協力隊の地域要件は、
住民票所在地(=転出地) と、
移住してくる市町村(=転入地)
の組み合わせで決まります。

この地域要件は、受入自治体が特別交付税(=歳入)を受けられるかどうか を判定するための枠組みでもあります。

特別交付税とは?

地域おこし協力隊1名につき、
上限550万円の歳入 が自治体に措置される仕組みです。

この特別交付税は、受入自治体にとって非常に大切な財源です。

  • 受入自治体の財政負担を軽減する
  • 募集人数や受入体制の設計に直結する
  • 安定した受け入れ環境をつくりやすくする

つまり、応募者にとっての
「自分が地域要件を満たすかどうか」 は、自身の応募可否だけでなく、
受入自治体の歳入(特別交付税)の見込みにも影響する重要な要素 なのです。

基本ロジックはこう考える

ざっくりとした基本イメージは、次のようになります。

  • 都市 → 田舎(条件不利地域)への移住は、対象になりやすい
  • 田舎 → さらに田舎への移住も、対象になるケースは多いが、細かな区分の違いで大きく判定が変わるため注意が必要

ここで出てくる「全部条件不利」「一部条件不利」といった区分が、制度理解の最大の壁になってきます。


最大の難所 ― 「一部条件不利地域」という概念

総務省の資料では、市町村を

  • 三大都市圏内 / 三大都市圏外
  • 都市地域 / 条件不利地域
  • 全部条件不利 / 一部条件不利

といった観点で10区分に分類しています。

この中でも特に分かりにくいのが、「一部条件不利地域」 です。

一部条件不利地域とは、自治体全体が条件不利地域に該当しているのではなく、
旧町村など、自治体の一部の区域だけが「過疎・半島・離島・山村」といった条件不利地域に指定されている状態 を意味します。

そのため、同じ「市」の中でも、区域によって区分が異なる という非常にややこしい状況が発生します。
これが、地域要件を理解しにくくしている大きな要因です。


具体例 ― 広島県呉市では判定が“割れる”理由

具体例として、広島県呉市を見てみましょう。
総務省の資料上、呉市は 「三大都市圏外 一部条件不利地域」 に分類されています。

しかし、呉市内の区域を詳しく見ると、

  • 旧豊町・旧倉橋町 … 過疎地域などの「条件不利地域」として指定
  • 旧呉市域(呉駅周辺など) … 条件不利地域には指定されていない

というように、同じ呉市の中でも「条件不利地域」と「条件不利地域外」が混在しています。

同じ「呉市」でも結果が変わるケース

例えば、次のような移動を考えてみます。

  • 旧呉市(条件不利地域外) → 福岡県田川市(全部条件不利地域)
    → 地域要件を満たす(○判定の可能性が高い)
  • 旧豊町(条件不利地域) → 福岡県田川市(全部条件不利地域)
    → 地域要件を満たさない(×判定の可能性が高い)

このように、同じ「呉市」から「田川市」への移住であっても、どの区域に住んでいるかによって判定が変わる のです。

日本各地には、このような「一部条件不利地域」を含む自治体が多く存在します。
そのため、市町村名だけを見て判断するのではなく、区域単位での区分を意識することが大切 です。


ロカスモの地域要件判定ツール(非公式・高精度)

こうした複雑さを少しでも解消するために、ロカスモでは
「地域要件判定ツール」 を開発しました。

地域要件判定ツール(chiiki-navi.lovable.app)

このツールの立ち位置

  • 非公式ツール です。最終的な判断は必ず総務省・受入自治体に確認してください。
  • ただし、2025年11月現在で最新となる「令和4年4月1日現在」の総務省資料
    (地域要件の解説PDF・自治体区分一覧PDF)をもとに、 10区分と転出地×転入地マトリクスを再現 しています。
  • 全国約1,700自治体を内部で10区分に分類し、転出地と転入地の組み合わせごとに判定。
  • 応募希望者の「最初の不安」を約30秒で減らすことを目指したツールです。
  • 自治体担当者にとっても、応募受付時の「一次チェック」として活用可能です。

ツールの使い方(ステップ・バイ・ステップ)

STEP1:ツールを開く

ブラウザで以下のURLを開きます。

https://chiiki-navi.lovable.app/

PC・スマホのどちらからでも利用できます。
「今の住民票の場所」と「行きたい自治体」をなんとなくイメージしておくと、操作がスムーズです。

STEP2:転出地(住民票所在地)を入力する

地域要件の判定は、住民票がどこにあるか を基準に行われます。

  • 現在の居住地ではなく、住民票を置いている市町村が「転出地」 になります。
  • 本来は居住実態と住民票は一致しているべきですが、事情により一致していないケースもあります。
  • 制度上は、住民票を「三大都市圏内の都市地域」などに一時的に移すことで、
    地域要件上の転出地を変えてしまう“ロンダリング”的な動きも理論上は可能です。
    (推奨はしませんが、制度構造を理解するうえで知っておいてよいポイントです)

ツール上では、検索ボックスに自治体名(例:○○市、○○町、○○村)を入力すると、候補が表示されます。
自分の住民票がある自治体を選択してください。

STEP3:転入希望先(移住したい自治体)を入力する

次に、移住を考えている自治体名を入力して選択します。
まだ候補が複数ある場合は、1つずつ入れ替えて判定を比較してみるとイメージがつきやすくなります。

STEP4:判定結果(○/△/▲/□/×)を見る

転出地・転入地を選び終えると、ツールが内部の10区分×10区分マトリクスにもとづいて、
○/△/▲/□/× のいずれかで判定結果を表示します。

それぞれの記号は、次のような意味を持ちます。

  • ○: 制度上、原則として対象となる(もっとも確度の高い判定)
  • △: 条件付きで対象になり得る。
    転出(移動前)の自治体 が、自治体内のどの区域(都市地域/条件不利地域/一部条件不利地域)に該当するかを確認する必要がある。
  • ▲: 条件付きで対象になり得る。
    転入(移動先)の自治体 で、区域が「条件不利地域」や「一部条件不利地域」に該当するかどうかの確認が必要。
  • □: 対象となり得る可能性はあるが、条件はかなり厳しめ。
    転出・転入の双方で、区域が一部条件不利地域にあたるかを細かく確認する必要がある。
  • ×: 原則として地域要件を満たしていない。

あくまでツールは「入口としての目安」です。
○判定であっても、自治体独自の募集条件によっては対象外になる場合がありますし、
×判定であっても、自治体が独自に似た制度を用意している可能性もゼロではありません。

STEP5:自治体に確認する質問(2つだけ覚えておけばOK)

ツールで結果を確認したら、最終的な判断は必ず自治体に確認することが大切です。
確認すべきポイントは、とてもシンプルで、次の2つだけ押さえておけば十分です。

  • 「住民票所在地が○○市ですが、御市の募集ではこの転出地から応募可能でしょうか?」
  • 「〇月に住民票を移して◯◯市に転出の予定ですが、着任時期との関連で地域要件に影響がありますか?」

この2つを確認しておけば、地域要件に関わる最重要ポイントは、ほぼカバーできます。


まとめ ― まずは“1分だけ未来の自分を確認”してみませんか

総務省の資料は、とても正確で大切な情報が詰まっています。
一方で、初めて地域おこし協力隊を検討する人にとっては、入口のハードルが高いのも事実です。

ロカスモの「地域要件判定ツール」は、その入口を少しでもやさしくするために作られた、非公式のサポートツールです。

  • 応募者にとっては、「自分は制度的に対象になりそうか?」をざっくり把握する安心材料になる。
  • 自治体担当者にとっては、応募者から住所情報を聞いたあとに行う「一次チェック」として活用できる。

最終的な判断は、必ず自治体に確認する必要があります。
そのうえで、

  • ツールで「ざっくりと全体像をつかむ」
  • 自治体に「具体的な条件を確認する」

という二段構えで進めていくと、地域おこし協力隊への一歩がぐっと踏み出しやすくなります。

まずは1分だけ、ツールを使ってみてください。
「今の住民票」と「行きたい自治体」を入れてみる
そこから、あなたの「地域で生きる未来」が、少しずつ具体的に見えてくるはずです。

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