地方移住を考え始めたとき、多くの人が一度は気になるのが「地域おこし協力隊」という働き方です。特に九州は、自然・食・文化の距離が近く、都市部とのアクセスも良いため、協力隊の受入自治体が多い地域として知られています。
一方で、募集情報は流動的で、
「検索しても締切ばかり出てくる」
「どれが“今も応募できる情報”なのかわからない」
と感じている人も多いはずです。
そこでロカスモでは、2025年12月13日時点で応募可能な九州の地域おこし協力隊を厳選して8件、仕事内容・地域の特徴・向いている人のタイプまで含めて整理しました。
いま九州で協力隊が注目されている理由
九州では、単なる人手不足の補填ではなく、「地域の中に入り、企画・調整・発信まで担う人材」として協力隊を位置づける自治体が増えています。
- 観光や移住の“中間支援”が必要になっている
- 空き家・地域資源の利活用が進んでいない
- 行政と地域、外から来る人をつなぐ役割が不足している
こうした背景から、九州の協力隊は裁量が比較的大きく、実践的な経験を積みやすいのが特徴です。
【2025年12月】九州で募集中の地域おこし協力隊8選
ここからは、現在募集している協力隊の中から、ロカスモ編集部が「やりがい」「働き方」「地域のサポート体制」などの観点でピックアップして紹介します。
福岡県
1) 柳川市|駅前にぎわい施設プロデュース(2名)
募集内容
西鉄柳川駅前のにぎわい施設を拠点に、イベント企画・運営、地域事業者や住民との連携、観光・交流の導線づくり、情報発信・広報などを担う協力隊です。
「水郷柳川」という強い観光資源を持ちながらも、駅前での滞在価値づくりが課題となっており、その最前線で動くポジションです。
向いている人
- 企画や調整役が好き
- 人と人をつなぐ仕事がしたい
- 観光×まちづくりに関心がある
募集ページ
JOIN|柳川市(募集ページ)
2) 八女市|キャンプ場運営サポート(夢たちばなビレッジ)
募集内容
中山間地域にあるキャンプ施設を舞台に、予約・運営サポート、利用促進の企画、イベントの立案・実施、写真・SNSを使った発信などを行う協力隊です。
自然体験を「観光資源」として磨いていく役割で、アウトドア好きには非常に相性の良い案件です。
向いている人
- キャンプや自然が好き
- 現場作業も苦にならない
- 人を楽しませる企画が好き
募集ページ
JOIN|八女市(募集ページ)
3) うきは市|農業振興・事業承継を担う地域おこし協力隊(2職種)
うきは市では、「農業」と「事業承継」という、地域の将来を左右する2つの分野で地域おこし協力隊を募集しています。どちらも単なる補助業務ではなく、将来的な“担い手”になることを前提としたミッション型の協力隊です。
(1) 農業振興推進プランナー(1名)
所属:農林振興課 農政係
ミッション
福岡県でも有数のトマト産地であるうきは市でも、後継者不在や規模縮小、リタイア等による離農が見込まれています。そこで、営農研修型施設である「うきはレインボーファーム」を拠点に、農業経営や生産技術を学び、新規就農者の確保や農産物のPR活動に取り組むことで、農業振興を推進する役割です。
主たる業務
- レインボーファームの推進事業全般の支援
- 農業法人で農業に携わり、研修を通して農業経営技術のスキルアップ
募集要件(要旨)
就農を希望される方
勤務場所
うきはレインボーファーム(うきは市吉町福益478-3)
(2) 事業承継支援プランナー(1名)
所属:うきはブランド推進課 商工振興係
ミッション
市内事業者の後継者不在による廃業リスクに対応するため、事業承継の担い手を発掘・育成し、地域資源としての企業を次世代につなぐ仕組みづくりが急務です。事業承継分野のアドバイザーと連携しながら、市内中小企業の事業承継ニーズの掘り起こし、及び後継者候補の発掘・マッチングを行います。併せて、新規創業支援や空きテナント活用、地域企業の情報発信などを通じて、地域の経済活性化と機運醸成を図ります。
主たる業務
- 市内事業者の事業承継に関するニーズ調査・掘り起こし・マッチング支援
- 事業承継に関する情報発信・普及啓発活動
- 空き店舗や空きテナント等の地域資源の調査
- 新規創業やDX導入支援などの関連分野への連携・支援
- 市内事業者の情報収集と発信
- 関連分野にかかるイベント開催や企画立案等
募集要件(要旨)
- 地域課題解決や中小企業支援に関心があり、関係機関と連携を図り、主体的に行動できる方
- 事業承継や創業支援に関する分野の業務に意欲のある方(業務経験等は必須ではない)
勤務場所
うきは市役所 うきは市民センター別館 U-BiC 1階
うきはブランド推進課 商工振興係(予定)
うきは市の協力隊は「その後」が明確
うきは市の2職種に共通しているのは、「任期中に何を学び、任期後にどうなるか」が描きやすい点です。農業振興推進プランナーは独立就農を目指す設計、事業承継支援プランナーは地域経済・中小企業支援の担い手として経験を積める設計になっています。
募集ページ
うきは市公式|地域おこし協力隊募集(募集ページ)
長崎県
4) 新上五島町|りとワーク協力隊(移住×仕事マッチング)
募集内容
新上五島町では、移住者と地域事業者の“ミスマッチをなくす”ための仕組み「りとワーク」を運営しています。協力隊は、求人・人材のマッチング支援、移住相談対応、地域事業者へのヒアリング、島での働き方の可視化などを担うポジションです。
向いている人
- 相談業務やコーディネートが得意
- キャリア支援に関心がある
- 島暮らしに魅力を感じる
募集ページ
SMOUT|新上五島町(募集ページ)
5) 東彼杵町|スイーツ開発/農業×観光×情報発信(2職種)
募集内容
東彼杵町では、特産品を活かしたスイーツ・惣菜開発、または農業(いちご・米など)×観光×情報発信といった、地域資源を“売れる形”にしていく2職種の協力隊を募集しています。地域事業者と密に関わりながら、「商品」や「魅力」を形にしていく仕事です。
向いている人
- 食や商品開発に興味がある
- SNS・写真・文章が得意
- 若い動きのある地域で活動したい
募集ページ
東彼杵町公式|地域おこし協力隊募集(募集ページ)
6) 松浦市|田代地区 むらづくり協力隊
募集内容
里山地域を拠点に、農作業支援、地域行事への参加、集落活動のサポートなど、住民と一緒に地域を支える協力隊です。派手さはありませんが、「地域に溶け込む経験」を積みたい人には濃い3年間になります。
向いている人
- 地道な活動が苦にならない
- 農村暮らしに関心がある
- 人付き合いを大切にしたい
募集ページ
松浦市公式|地域おこし協力隊募集(募集ページ)
熊本県
7) 湯前町|移住・空き家バンク担当
募集内容
移住希望者の相談対応や空き家バンク運営を通じて、「住まい」を軸にした移住支援を行う協力隊です。お試し住宅の案内、空き家所有者との調整、移住相談・情報整理など、地方移住のリアルに最前線で関われるポジションです。
向いている人
- 空き家や住まい分野に関心がある
- 人の話を丁寧に聞ける
- 生活支援的な役割に抵抗がない
募集ページ
JOIN|湯前町(募集ページ)
大分県
8) 九重町|観光DX・情報発信(DMO勤務)
募集内容
観光協会(DMO)と連携し、観光資源の取材・編集、SNS・Webでの発信、観光商品造成の補助などを行う協力隊です。「観光×デジタル」に関心がある人には、実践的な経験を積める環境です。
向いている人
- 写真・Web・発信が好き
- 観光業に関わりたい
- 地域ブランディングに興味がある
募集ページ
JOIN|九重町(募集ページ)
失敗しない協力隊選びのポイント
募集を比較すると「楽しそう」に見える案件が多いですが、協力隊は“地域に入る仕事”。向き不向きを見極めることが大切です。
1) 業務の裁量はどれくらい?
自分の企画が通りやすい地域もあれば、行政色が強くルールが多い地域もあります。募集要項の文面だけで判断せず、説明会や問い合わせで「どこまで任せてもらえるのか」を確認しておくと安心です。
2) 担当者との相性
実は一番重要と言われるのがこれ。働く3年間、伴走してくれる人の存在は大きいです。可能なら、応募前に担当者とオンライン面談をして、温度感を確かめておきましょう。
3) 地域住民との距離感
人付き合いが濃い場所もあれば、距離感を保てる地域もあります。「自分はどの距離感が心地いいか」を言語化しておくと、選びやすくなります。
4) 任期終了後のキャリア
起業支援が充実している地域もあれば、地元企業への就職が中心の地域もあります。「3年後にどうなっていたいか」から逆算して選ぶのがおすすめです。
まとめ|九州の協力隊は「役割」がはっきりしている
今回紹介した8件に共通するのは、「何をしてほしいか」が比較的明確であることです。
- 観光・情報発信
- 移住・空き家
- 農業振興
- 事業承継・中小企業支援
- 地域コーディネート
九州の協力隊は「地域に入って、実際に動く人」を求める傾向が強く、その分、経験としても濃くなります。気になる募集があれば、まずは募集要項を読み、担当者に問い合わせてみること。協力隊は、動いた人から見えてくる制度です。
あなたに合う地域が見つかるきっかけになれば幸いです。



