移住支援金はいくらもらえる?【100万円+子ども×100万円】対象者・条件・落とし穴を徹底解説【令和7年度版】 

「移住支援金って、本当に100万円もらえるの?」
「300万円って噂も聞くけど、どういう人が対象なの?」
「返還リスクが怖いけど、どんな条件で返す必要があるの?」

そんな疑問を持つ人に向けて、この記事では令和7年度(2025年度)も継続実施されている移住支援金制度の“最新の姿”をわかりやすく整理しました。

ポイントは次の3つです。

  • 移住支援金は令和7年度も継続して実施されている
  • ただし内容は「固定」ではなく、毎年アップデートされ続ける制度である
  • 移住を検討する人は、必ず最新年度の詳細を市町村レベルまで確認する必要がある

制度の表面だけを見て判断すると、受給できる条件を見落としたり、返還対象になってしまうケースも少なくありません。
ロカスモ編集部として、生活者・移住希望者の視点から、最新年度に対応した“実務的に使えるガイド”として再編集しました。

移住支援金に関する詳細は、こちらの公式情報をご確認ください。


目次

1.移住支援金とは?令和7年度も継続される国の人口政策

移住支援金は、東京圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)から地方へ移住した人を対象に支給される、国と自治体による人口政策です。

目的は明確です。

  • 東京一極集中の是正
  • 地方の労働力不足の解消
  • 地域を支える人材の確保

国の「新しい地方経済・生活環境創生交付金(第2世代交付金(移住・起業・就業型))」制度により行われているもので、

  • 国:支給額の1/2
  • 都道府県+市町村:残り1/2

という協調負担方式で令和7年度も継続しています。

※重要:
「制度が継続」=「毎年同じ内容が続く」ではありません。
毎年度、細かい部分が修正・最適化されます。


2.令和7年度の支給額:基本100万円+子ども×100万円は維持

令和7年度も支給額の大枠は変わりません。

基本支給額

  • 単身:最大60万円
  • 2人以上の世帯:最大100万円

子育て加算

18歳未満 1人につき最大100万円の加算が用意されています。

例:夫婦+子ども2人の世帯

  • 基本:100万円
  • 子加算:100万円 × 2人
  • 合計:300万円

引っ越し費用や敷金・礼金、自家用車の購入費など、移住の初期コストを大きくカバーできる水準です。

ただし注意:
子育て加算の適用は市町村ごとに異なります。

  • 県としては加算があっても、この市だけ対象外
  • 対象年齢の上限が自治体ごとに違う
  • 特定の市町村に移住した場合のみ加算がつく

といったケースもあるため、実際に移住を検討している自治体のページで必ず条件を確認してください。


3.誰が対象?東京23区在住・通勤要件は?

対象者の「移住元(出発地)」は大きく次の2パターンです。

① 東京23区に住んでいた人

移住直前に住民票が23区内にあれば対象になります。

② 東京圏から23区内へ通勤していた人

東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県に住み、
23区内の事業所等へ通勤していた実績がある人も対象です。

「直近1年・通算5年」の要件も継続

  • 移住前10年のうち通算5年以上、23区に「在住」または「通勤」していた
  • かつ移住直前に連続1年以上、23区に「在住」または「通勤」していた

短期間だけ東京にいた人ではなく、構造的に東京に定着している層を地方へ還流させたい、という政策意図が込められています。

学生の通学期間を加算可能

地方から上京し、東京の大学に通ってそのまま就職した若年層をターゲットにするため、
東京23区内の大学などへの通学期間を通算年数に含めることを認められています。

条件不利地域は対象外

東京圏の中でも人口減少が進む「条件不利地域」(例:奥多摩町・檜原村・秩父市など)は、政策目的が異なるため移住支援金の対象外となります。

「東京圏ならどこからでもOK」ではない点に注意が必要です。


4.移住後の働き方:4つの類型+起業(令和7年度も継続)

移住支援金は、「移住しただけ」では受給できません。
移住先での働き方に応じて、次の5つのパターンのいずれかに当てはまる必要があります。

① 一般就業(マッチングサイト経由)

各都道府県が運営する求人サイトに掲載されている「移住支援金対象求人」に就職するパターンです。

  • 地域の中小企業が中心
  • 親族(3親等以内)が代表を務める会社は対象外
  • 大企業の地方支店への単なる転勤は対象外

地域の中小企業に就職したら必ずこの制度を活用できるというわけではなく、各都道府県が運営する求人サイトに掲載されていることが条件になるので、要注意です。

② 専門人材(プロフェッショナル人材事業)

「プロフェッショナル人材事業」「先導的人材マッチング事業」などを通じ、地方企業の経営幹部や高度専門職として就職するパターンです。

③ テレワーク(転職なき移住)

所属企業は東京などのまま、働く場所だけ移住先へ移す「転職なき移住」のパターンです。

  • 会社都合の転勤ではなく本人の意思で移住することが条件
  • 「週20時間以上テレワーク」「原則として通勤しない」など、具体的な要件を定める自治体もある(静岡県など)

長野県などでは、テレワーク移住後に仕事を変えても、地域に住み続ける限り返還を求めないなど、居住実態を重視した柔軟な運用をしている例もあります。

④ 関係人口枠(自治体によって大きく異なる)

「移住前からその地域と何らかの関わりがあった人」を対象にする枠です。

  • 二地域居住や週末移住
  • ふるさと納税の実績
  • 地域イベントへの参加
  • 親族が住んでいる

などを要件にしている自治体があります。

関係人口としてこれまでその地域に関わってきた人も本制度を利用することができます。

なお、これに加えて、各自治体が独自に設定する地域の担い手確保に関する要件も満たす必要があるので注意が必要です。

例えば、長崎市では、下記の要件を設定しています。

申請者が下記のいずれかの要件を満たすこと

農林水産業に就業すること。
長崎市が必要とする業種に就業すること。
家業等へ就業すること。
長崎市内に拠点を置く自治会、NPO法人、地域活動団体等が行う活動に継続して参加する意思があり、現に次に定める仕事を行っていること。
・長崎県内に事業所を有する個人事業者または法人に就業していること。
・長崎県内で個人事業の開業、法人の設立または事業承継により法人の代表の変更を行っていること。
・長崎県内に個人事業または法人の事業所を移転していること。
・長崎県外の企業に就職し、長崎市を拠点にテレワークを行っていること。

⑤ 起業(地方創生起業支援金との併用)

地域で社会的事業を起業し、起業支援金(最大200万円)の交付決定を受けた場合、移住支援金(最大100万円)とセットで

  • 世帯:最大300万円
  • 単身:最大260万円

まで支援されるケースがあります。
その地域でビジネスを立ち上げたい人にとって、初期費用の大きな後押しになりますが、各道府県で募集の時期が定められていたり、厳格な審査が必要になったりするなど、注意が必要です。


5.最も重要:返還規定は厳格運用

移住支援金でもっとも見落とされがちで、もっとも重要なのが「返還規定」です。令和7年度も、この枠組みは維持されています。

全額返還になる主なケース

  • 申請日から3年未満で転出した場合
  • 就業後1年以内に自己都合で離職した場合
  • 虚偽申請が発覚した場合

半額返還になるケース

  • 申請日から3年以上5年未満で転出した場合

返還が免除される可能性があるケース

  • 勤務先の倒産
  • 自然災害
  • 病気・介護など、本人の責に帰さないやむを得ない事情

ただし、免除を受けるためには自治体への申請と審査が必要で、「なんとなく都会に戻りたくなった」といった理由は基本的に認められません。

返還規定の運用は自治体ごとに細かく異なるため、必ず市町村の要綱まで確認しておきましょう。


6.地域差が拡大:令和7年度は“自治体ごとの最適化”がより鮮明に

制度が数年間続いたことで、地方ごとに戦略の違いが明確になっています。令和7年度は特に、自治体ごとの「色」がはっきりと見え始めている状況です。

長野県:二地域居住・週末移住を積極的に評価

  • 二地域居住や週末暮らしを関係人口として認定
  • テレワーク移住者への柔軟な返還規定(居住継続を重視)

段階的な移住・定住を促す設計になっています。

熊本県:産業集積と連動した就業支援

  • 半導体関連産業などとの連動を強化
  • 県のジョブサイトを軸にしたマッチング
  • 子育て加算を手厚くする自治体もあり、ファミリー層の移住に力を入れている

静岡県:“脱ベッドタウン”志向の厳しめテレワーク条件

  • 「週20時間以上テレワーク」「恒常的に通勤しない」などの条件を継続
  • 新幹線通勤による“なんちゃって地方暮らし”ではなく、地域に根ざした生活を求める方針

このように、同じ移住支援金でも、どの自治体を選ぶかで適用条件や運用イメージが大きく変わるのが特徴です。


7.移住支援金は“毎年アップデートされる制度”。令和7年度も例外ではない

ここが、ロカスモ編集部として一番伝えたいポイントです。

  • 制度は令和7年度も継続している
  • しかし内容は「昨年と同じ」とは限らない
  • 市町村レベルで条件が調整されるため、年度ごとに差異が生まれる
  • 古い情報で動くと「支給対象外」「返還リスク」に直結する

移住支援金は「継続される制度だが、固定化されない制度」と理解してください。

よくある誤解

「友達が去年この条件で申請できたから、自分も今年は大丈夫でしょ?」

→ 制度の運用やローカルルールは年度ごとに見直されるため、
「去年OKだった条件」が「今年はNG」になっている可能性も十分あります。


8.ロカスモ編集部の結論:最新年度のルールを見てから動こう

移住支援金は、移住の背中を押してくれる強力な制度です。
一方で、年度ごとの見直しと返還リスクを抱える、「注意深く扱うべき制度」でもあります。

令和7年度のポイントをまとめると、次の通りです。

  • 支給額の大枠(基本+子育て加算)は継続
  • 東京23区在住・通勤要件や「通算5年・直近1年」も継続
  • テレワーク・関係人口・起業などの枠も継続
  • ただし細部の条件や運用は毎年度アップデートされる
  • 返還規定は令和7年度も厳格運用が前提

だからこそ、移住支援金を検討する際には、

  • 国 → 県 → 市町村の順番ですべてのレイヤーの最新情報を確認する
  • 「5年間の暮らし」を見据えたライフプランを考える

この2つが、「もらって終わり」ではない、納得度の高い移住につながります。

ロカスモでは今後も、移住支援金の制度解説だけでなく、
実際に制度を活用した人の声や、自治体担当者へのインタビューなども追いかけながら、
「移住 × 地域おこし協力隊 × 地方暮らし」のリアルを発信していきます。

※本記事は執筆時点の情報をもとにした解説です。制度の内容や金額、対象要件などは変更になる可能性があります。必ず最新の情報を、移住先候補の自治体や都道府県、内閣府等の公式資料でご確認ください。

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