ホリエモンAI学校の動画 「給料を貰いながら起業準備が出来る制度!?地域おこし協力隊をわかりやすく解説!」をきっかけに、
地域おこし協力隊制度を「給料をもらいながら起業準備ができる仕組み」として紹介する文脈が広がりつつあります。
本記事では、動画の内容を踏まえつつ、制度としての正確なポイントと、ロカスモ的な活用の視点を整理して解説します。
🎥 動画:ホリエモンAI学校「給料を貰いながら起業準備が出来る制度!?地域おこし協力隊をわかりやすく解説!」
1. なぜ今「協力隊×AI」が注目されているのか
動画の中でホリエモンAI学校は、地域おこし協力隊制度を 「給料をもらいながら地方で起業準備ができる制度」 として紹介しています。
特に、次のようなポイントが強調されています。
- 地方では、DX・AI・IT人材が圧倒的に不足している
- 地域おこし協力隊には「業務委託型」があり、副業・兼業と相性が良い
- 協力隊の報酬で生活費を安定させながら、AIコンサルの売上を積み上げることで、任期終了後の独立を目指せる
ロカスモとしても、「都市で培ったスキルを地方で活かしつつ、段階的に起業基盤をつくる」という発想は、とても現実的なキャリアモデルだと考えています。
一方で、制度を正しく理解せずに「おいしい話」とだけ受け取るのは危険でもあります。ここから、制度の基本を整理します。
2. 地域おこし協力隊とは?制度をロカスモ的に正しく理解する
2-1. 制度の目的
地域おこし協力隊は、 大都市圏などから条件不利地域・地方部へ人の流れをつくり、地域の担い手を確保する ことを目的とした制度です。
「都会から地方へ」というイメージが先行しがちですが、実際には 転出元(いま住んでいる自治体)と 転入先(協力隊として移住する自治体)の双方について、総務省が細かい区域区分を定めています。
そのため、「東京からならOK」「地方から地方だとNG」といった単純な話ではありません。
まずは簡易的に、ロカスモが提供する地域要件判定ツールなどで、自分のケースが対象かどうかを確認することをおすすめします。
▶地域要件を簡易チェック(ロカスモ・地域要件判定ツール):
2-2. 雇用型と業務委託型の違い(ここは押さえておきたい)
また、地域おこし協力隊の募集形態には、大きく分けて次の2パターンがあります。
① 雇用型(会計年度任用職員)
- 自治体に雇用される
- 身分は「会計年度任用職員」として扱われるケースが多い
- 社会保険あり
- 仕事内容は自治体の指示ベースで決まりやすい
- 副業は「条件付きで可」「原則不可」など、自治体ごとに運用が分かれる
② 業務委託型(個人事業主のケースが多い)
- 自治体と業務委託契約を結ぶ
- 雇用ではないため、社会保険は自分で対応する必要がある
- 業務内容の自由度が比較的高く、副業・兼業が認められやすい
- 個人事業主としての活動と組み合わせやすく、起業準備との相性が良い
ホリエモンAI学校の動画で紹介されているモデルは、主にこの「業務委託型」を前提にされているものと考えられます。
2-3. 報酬と活動費の仕組み
協力隊の条件は自治体ごとに異なりますが、おおまかなイメージとしては次のような構成になっています。
- 報酬:月額20〜30万円前後が多い
- 活動費:年間200万円程度まで認めている自治体もある(上限はさまざま)
動画でも「月25〜30万円の報酬」「月15万円の経費」といった例が紹介されていますが、これはあくまで一部自治体のケースであり、全国一律ではありません。
2-4. 活動費は「経費」であり、自由に使えるお金ではない
ここは非常に誤解されやすいポイントです。
活動費は“協力隊の活動に必要な経費”であり、個人の自由に使えるお小遣いではありません。
総務省の「地域おこし協力隊の受入れに関する手引き(第5版)」では、活動に要する経費の例として、次のようなものが挙げられています。
- 住居、活動用車両の借上費
- 活動旅費等の移動経費
- 作業道具・消耗品等に要する経費
- 関係者間の調整・意見交換会等に要する事務的な経費
- 隊員の研修受講に要する経費
- 地域住民との交流や、地域おこしに資する取組に要する経費
- 隊員の活動拠点整備(空き店舗改修など)に要する経費
- 隊員の定住環境整備(空き家改修など)に要する経費
- 定住に向けて必要となる研修・資格取得に要する経費
- 定住に向けて必要となる活動に関する需用費(例:試作品の原材料費等)
ポイントは、「地域おこし協力隊の活動」「定住に向けた取り組み」に関係する支出であること。
動画で話されているような「AIを学ぶ」「DX人材としてのスキルを身につける」といった内容は、 自治体との事前の相談・合意があれば、研修費として認められる可能性が高いと言えます。
3. 動画が描く「AIコンサル×協力隊」モデルとは
ホリエモンAI学校が提示しているキャリアモデルを、ロカスモ的に整理すると次のようになります。
- 地域おこし協力隊として地方に移住する(業務委託型が前提)
- 日中は協力隊の活動(特産品PR、店舗運営支援、観光DXなど)に取り組む
- 副業枠・余白の時間で「AIコンサル」「ITツール導入支援」「AI勉強会の開催」などを展開
- 協力隊の報酬で生活を安定させつつ、副業の売上を少しずつ増やしていく
- 任期(最長3年)の間に、月数十万円の安定した副業収入を目指す
- 任期後は、その地域で独立・定住する
地方は、そもそも 「AIが分かる人」「デジタルに明るい人」が極端に少ないため、
- AIやITツールの選定・導入支援
- 業務の自動化の相談
- 自治体・中小企業向けの勉強会
といったニーズは、全国どこにでも存在します。
協力隊として地域に根を張りながら、それらのニーズに応えていくという発想は、制度の目的とも相性の良いモデルだと言えます。
4. 魅力的なポイントをロカスモ視点で整理
4-1. 給料をもらいながら起業準備ができる
起業で最も不安なのは、「収入ゼロ期間」が発生することです。
地域おこし協力隊を活用すれば、 一定の報酬を得ながら、副業・起業の準備を進められるため、心理的・経済的なハードルを下げることができます。
4-2. 地方のDX・AI需要とスキル人材不足
多くの地方自治体や中小企業では、
- IT担当が不在
- SNS運用やECのノウハウがない
- AIの活用について相談できる相手がいない
といった課題を抱えています。
都市部で培ったスキルを持つ人にとっては、「自分にとっては当たり前の知識」が、そのまま価値になる環境とも言えます。
4-3. 活動費や起業支援の制度も組み合わせられる
自治体によっては、
- 家賃補助(例:月○万円まで支援)
- 空き家の無償・低額貸与
- 任期前後の起業に対する補助金(例:100万円)
といった独自の支援策を用意しているケースもあります。
「協力隊+起業支援制度+活動費」の組み合わせを設計できると、地方でのチャレンジがぐっと現実的になります。
5. 誤解しないために押さえたい注意点
5-1. 副業OK=完全に自由、ではない
業務委託型は、副業・兼業に寛容な自治体が多いとはいえ、
- 「あくまで協力隊活動が主で、副業はその余白で」という前提
- 副業内容によっては、事前相談・許可が必要なケースもある
など、自治体ごとのルールがあります。
「何でも自由にやっていい」と期待しすぎると、ミスマッチの原因になりかねません。
5-2. 活動費は“経費”。個人の自由裁量ではない
前述の通り、活動費は「地域おこし協力隊の活動や定住に資する支出」に限られます。
動画で紹介されているような「月○万円の経費」があったとしても、それは活動内容と紐づいた支出にのみ使えると理解しておきましょう。
5-3. 任期後の収入は、自分でつくる必要がある
協力隊の任期は原則1〜3年で、いつかは必ず終わります。
「3年後に本当に食べていけるだけの売上がつくれているか」は、制度ではなく個人の行動と設計にかかっています。
5-4. 自治体の期待と、自分の目的のズレに注意
自治体が期待しているのは、 「地域の課題解決」や「地域の活性化」です。
一方、応募する側は 「起業準備」「キャリアチェンジ」を重視しがちです。
この2つの視点がかみ合っていないと、
- 自治体「もっと地域活動をしてほしい」
- 隊員「副業や準備にもっと時間を使いたい」
という不満が双方に溜まってしまいます。
応募前・着任前の段階で、できるだけ具体的に期待値をすり合わせておくことが大切です。
6. こういう人に向いている制度です
- IT・AI・マーケティングなど、都市部で培ったスキルがある
- 地域の人と関わりを持ちながら仕事をしたい
- 3年かけて事業を育てていく腰の強さがある
- 地方での暮らし、コミュニティに興味がある
- 「いきなり独立」より「段階を踏んだキャリアチェンジ」を望んでいる
逆に、
- 「制度がなんとかしてくれる」と他力本願な人
- 地域活動よりも「自分のビジネスだけ」を最優先したい人
- 公的制度ならではの書類・調整ごとに強いストレスを感じる人
には、あまり向かないかもしれません。
7. 実際に検討したい人の行動ガイド
STEP1:地域要件を確認する
まずは、自分が地域おこし協力隊に応募できる地域要件を満たしているかどうかを確認しましょう。
- 現在の住民票所在地(転出元)がどの区域区分か
- 応募したい自治体(転入先)がどの区域区分か
▶ 簡易チェックはこちら
STEP2:募集要項を読み込む
募集要項では、次のポイントを重点的にチェックしましょう。
- 雇用型か、業務委託型か
- 報酬の金額・支給方法
- 活動費の上限と、使い道のルール
- 住居支援(家賃補助・空き家提供など)の有無
- 副業・兼業の扱い(可能か、条件付きか)
- 任期後の起業や定住に対する支援策
全国の募集情報は、たとえば下記サイトでも一覧できます。
▶ 地域おこし協力隊などの募集情報(JOIN):
https://www.iju-join.jp/
STEP3:自治体担当者に具体的な質問をする
不明点があれば、早い段階で自治体の担当者に相談するのがおすすめです。例えば、次のような質問が考えられます。
- 実際に副業・兼業をしている隊員はいるか、その内容はどのようなものか
- 協力隊の活動と、副業の時間のバランスについて、自治体はどう考えているか
- 任期後の起業・定住を支援する具体的な制度や事例はあるか
- 地域のDX・AIに関するニーズや、期待している役割は何か
8. まとめ:制度を理解し、正しく使えば強力な選択肢に
ホリエモンAI学校が提示する
「地域おこし協力隊 × AIコンサル」というモデルは、
地域おこし協力隊制度の特徴をうまく活かしたキャリア設計の一つだと言えます。
一方で、協力隊は魔法の制度ではありません。
- 地域要件や募集形態(雇用/業務委託)を正しく理解すること
- 活動費の性質(経費)と、使い道のルールを理解すること
- 自治体との期待値を事前にしっかりすり合わせること
- 任期後のキャリア・収入を、自分自身で設計すること
こうしたポイントを押さえれば、
地域おこし協力隊は、「地方×キャリアチェンジ×起業準備」を同時に進められる、とても強力な選択肢になりえます。
ロカスモでは今後も、
制度解説、地域要件判定ツール、募集要項の読み方、現場の声などを通じて、
あなたの「移住 × 地域おこし協力隊」チャレンジをサポートしていきます。


